調査・研究

都市自治体の総合的な就労支援のあり方に関する研究会

1.調査研究の趣旨

 これまで、障害者、若者、育児をする女性、被保護者といった形で、自治体においては就労支援の事業は分散して実施されてきた。2015年からはじまった生活困窮者対策での就労支援は、これらの事業を横断的に紹介する相談体制ができた点では画期的であるが、その財源と対象者が一部に限られていることが、自治体の雇用政策(就労支援)の展開にとって課題となっている。
 国の雇用政策としてはハローワークがしばしば取り上げられるものの、多様な背景を持つ人々が多様な働き方を求めつつあるのに対して、そうしたニーズを十分に満たせていないことが課題として浮上している。加えて、近年は民間職業紹介サービスが普及していることもあり、そのあり方が抜本的に問われるようになっている。他方、地方の中小企業においては(特に一部の業種で)人手不足が深刻化しており、求人を出しても応募がない、いったん就職しても人が定着しづらいという人事管理の構造的な問題を抱えるようになっている。
 地方分権改革の成果として、地方版ハローワークの創設が可能となり、各自治体での雇用政策における国や県との連携、および庁内連携が進んでいるが、先進的な都市自治体においては、人と企業の双方の特性やニーズに応じて仕事内容や職場環境を調整するという活動の重要性が次第に認識されるようになっている。具体的には、自治体による地元企業における優良な就業先の開拓、就業後の生涯を通じた定着支援・キャリア形成支援(伴走的な個別支援)、地元企業の人事管理体制整備への協力等である。
そこで、本調査研究では、わが国における地方分権改革の成果も意識しつつ、このように従来まで分散してきた雇用政策の権限と財源を都市自治体が総合的(統合的)に連携させる方策を探る。その際、雇用政策の分権化を進めてきた諸外国(スウェーデン、ドイツ、韓国、デンマーク等)の取組と日本の取組を比較検証することで、都市自治体において総合的な雇用政策として再構築するための示唆を得ることとする。

2.調査研究の概要

 5名の学識経験者及び都市自治体職員からなる「都市自治体の総合的な就労支援のあり方に関する研究会」(座長 星野 泉 明治大学政治経済学部教授。以下「研究会」という。)を設置し、調査研究を進めることとした。研究会では、以下の検討事項について調査を行うこととしている。

 <主な検討事項(予定)>
① 都市自治体の就労支援の現状と課題
② 就労支援に関する都市自治体の取組み
③ 今後の都市自治体の就労支援のあり方

3.研究成果の公表

 本調査研究の成果をまとめ、2025年3月に報告書を刊行する予定である。

4.研究会委員名簿

座長  星野 泉  明治大学政治経済学部教授
委員     加藤 壮一郎  立教大学経済学部兼任講師
委員 五石 敬路   大阪公立大学大学院都市経営研究科准教授
委員  武田 公子 金沢大学人間社会研究域経済学経営学系教授
委員 西岡 正次  A’ワーク創造館 副館長・就労支援室長

研究会開催状況

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