2013年度以前の調査・研究

都市自治体のベンチマーキング手法の導入に関する調査研究2003

 

都市自治体のベンチマーキング手法の導入に関する調査研究

1.調査研究の趣旨

1990年代後半以降、多くの都市自治体において、行財政運営の効率化、アカウンタビリティの確保、職員の意識改革等を目的として、いわゆる「行政評価」の導入が進められており、早くから導入した自治体では、既にその成果が問われている状況にある。しかし、一部の自治体においては、実際に導入したものの当初意図した効果が得られない、効果が導入当初の一時的なものに止まっている等の声もある。そこで、より実効性が得られるような評価モデルの構築とその適切な導入方法が課題となっている。

このような中、より実効性の確保が期待されている手法の一つに、ベンチマーキング手法がある。これは、業績を数値化し、外部団体との(あるいは時系列での)「比較」を通して業務プロセスの改善を図るものであり、評価基準が明解なことに特徴があり、実効性を伴った業務改善が期待できる。自治体におけるベンチマーキングの導入については、アメリカにおいて先進的な取組みがなされており、州の戦略計画において社会指標による目標設定を行ったオレゴン・ベンチマークや、ICMA(市支配人の職能組織)等による、自治体の行政サービスを比較する取組みが知られている。

近年、日本においても、都道府県を中心として、社会指標等による目標設定を行うベンチマークの取り組みがなされている。他方、都市自治体による行政サービスの比較についても、2003年5月に総合研究開発機構(以下「NIRA」)が、施策レベルを単位として数値による自治体間の比較を行うための指標体系である「NIRA型ベンチマーク・モデル」を提案し(『ベンチマーキング手法の地方自治体への導入』総合研究開発機構,2003年)、現在、事例収集とモデルのブラッシュアップを引続き行っている。こうした取組みは、都市自治体における実効性のある評価の取組みを進めていく上で、大いに参考になるものと考えられる。

そこで、本調査研究では、全国都市自治体へのアンケート調査を行い、都市自治体における評価システムの取組み状況とベンチマーキング手法の導入に向けた可能性・意向等の把握を目的とする。具体的には、都市自治体において現在導入されている行政評価およびベンチマーキング手法の導入状況とその成果、さらには導入時、導入後に明らかとなった問題点等を把握するとともに、ベンチマーキングの有力なモデルの一つと考えられるNIRA型ベンチマーク・モデルについて、調査票においてその体系を提示し、これに対する評価・導入意向や導入時に考えられる課題等について把握する。

2.調査研究の体制(都市自治体のベンチマーキング手法導入に関する研究会)

座 長 澤井 安勇 総合研究開発機構理事
委 員 坂野 達郎 東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授
井川 博 (財)日本都市センター理事・研究室長
専門委員 中西 規之 (財)日本都市センター研究室研究員

(敬称略、所属・役職等は2003年8月現在)

 

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