2013年度以前の調査・研究

地方分権型時代における市民と都市自治体との関係構築のあり方に関する調査研究2000

 

地方分権型時代における市民と都市自治体
との関係構築のあり方に関する調査研究

1.調査研究の趣旨

今次分権改革により、自治体の自己決定・自己責任原則の強化が図られたところであるが、日本の市民社会のさらなる成熟化に向けて、基礎自治体の重要性についての再認識とともに、市民自治の拡充、都市内分権の展開等の課題に注目が集まっている。一方、中央政府による政府規制改革が進められている中で、新たな視点からの社会的セーフティーネット構築の必要性が高まりつつある。

地方分権の推進と社会的セーフティーネット整備において中核的役割を担うことが期待されている都市自治体においては、特に、市民活動組織・地縁住民自治組織等との連携・協働、市民自治の成熟化を促すための仕組みづくり等が不可欠な課題となっている。これらの課題に対処するためには、まず、高度成長期に盛り上がりを見せたコミュニティ論・コミュニティ政策を再評価し、現代的な解釈のもとに再構築する必要があるだろう。

本研究では、地方分権の促進と市民自治の確立の視点に立脚し、その基盤として位置づけられる、コミュニティや市民組織等の実態を把握した上で、市民自治の基層単位である自治的コミュニティ形成の動きと都市内分権等の潮流とを繋げるものとして、「近隣政府」というテーマに着目することにより、新世紀における市民と都市自治体との新しい関係構築のあり方を探ることとしたい。

そこで、第1に、コミュニティレベルに焦点をあて、とくに市民と行政との関係構築の視点から、従来のコミュニティを巡る諸議論・施策等の整理・総括を行う。第2に、近年、まちづくりの各分野で展開されている新しい動き-市民と行政との協働、都市ガバナンス・コミュニティガバナンスという理念、自治会・町内会等の地縁住民自治組織やNPO・ボランティア等政策テーマ別の市民活動組織の新たな動向、市民による政策提案やコミュニティのルールづくり等市民へのエンパワーメントを支援するための仕組みや組織の形成の動き等-の実態の把握・分析を行う。第3に、それらの現況把握や課題抽出を踏まえて、市民自治と都市内分権のあり方やその仕組み・制度の改革方向等を検討し、基礎自治体における多様な「近隣政府」創設の構想とその制度設計に焦点をあてつつ、さらには自治体の総合計画や基本条例の課題にも関連づけながら、分権型社会における市民と都市自治体との新しい関係構築のあり方を提言する。

具体的には、学識経験者、都市自治体や国の行政関係者等を委員とする研究会を設置して、実態調査・分析や報告・討議を行い、調査研究を進めていくこととする。なお、NPOの実態調査については、NPOサイドから見た、NPOと自治体との関係に関する詳細な実態を探るために、専門研究機関であるNPO法人の協力を別途、得ることとする。

2.調査研究の体制(市民自治研究委員会)

委員長 寄本 勝美 早稲田大学政治経済学部教授
委 員 阿部 昌樹 大阪市立大学法学部教授
井上 繁 常磐大学コミュニティ振興学部教授
卯月 盛夫 早稲田大学専門学校教授
江上 渉 成蹊大学文学部助教授
遠藤 文夫 元東海大学法学部教授、元自治省審議官
大石田久宗 三鷹市生活文化部コミュニティ文化室長
倉沢 愛子 慶応義塾大学経済学部教授
栗田 幹晴 宇都宮市企画部企画審議室長
小池 治 横浜国立大学大学院国際社会科学研究科助教授
高島 茂樹 自治省行政局行政体制整備室長
高部 正男 自治省行政局行政課長
阪野 武弘 大津市市民部長
森岡 淸志 東京都立大学人文学部教授
横山 悠 横浜市企画局政策部長
間島 正秀 (財)日本都市センター研究室長
専門委員 李  起豪 延世大学社会科学研究所主席研究員

(敬称略:50音順)

 

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