人口減少時代における地域公共交通のあり方-都市自治体の未来を見据えて-
人口減少時代における地域公共交通のあり方-都市自治体の未来を見据えて-
A5判 272p
定価1100円(本体価格1000円+税10%)
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近年、公共交通の利用者数の減少や交通事業者の経営悪化に伴い、地域公共交通ネットワークは縮小している。これまで、自治体では、コミュニティバスやデマンド型交通等の導入や交通事業者への財政支援を行うことで、いわゆる交通弱者の支援や公共交通の活性化・再生に取り組んできた。さらに、LRT・BRT等の導入や交通ネットワークの再編に向けた取組みも増加している。しかし、今後の超高齢・人口減少社会では、従来の交通政策に加え、まちづくりと一体になった公共政策が必要とされている。
国においては、2013年12月に「交通政策基本法」を制定し、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保、まちづくりの観点からの交通施策の促進、国・自治体・交通事業者等の関係者相互間の連携と協働の促進等についての方向性を示した。さらに、2014年11月には、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律」を施行し、自治体が中心となり、まちづくりと連携して交通ネットワークの再構築を図ることにした。また、同年8月には、「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律」を施行して、「コンパクトなまちづくり」と「公共交通によるネットワーク」を連携させることにした。
これらを背景に、今後、都市自治体では、地域公共交通における自治体の役割、まちづくりと交通政策の連携、交通事業者・住民との関係性、交通ネットワークの再構築の方向性など多岐にわたる項目を、具体的に検討していかなければならない。
そこで、日本都市センターでは、2014年度、学識者及び都市自治体職員等により構成される「都市自治体における地域公共交通のあり方に関する研究会」(座長 森本章倫 早稲田大学理工学術院社会環境工学科教授)を設置し、都市自治体の交通政策と地域公共交通のあり方について検討を行った。
研究会では、これまでの研究や施策等を通じて得た知見・経験を基に意見を交わし、議論を深めた。加えて、委員として参加した2つの自治体と、現地ヒアリング調査を実施した6つの自治体とを併せた8自治体の交通政策を研究材料として整理・考察し、成果を得た。本報告書はこのたびその研究成果を取りまとめたものである。
第1部 政策と理論
第1章 人口減少社会と都市
(早稲田大学理工学術院社会環境工学科教授 森本 章倫)
第2章 公共バス事業の動向
(一橋大学大学院法学研究科教授 木村 俊介)
第3章 日本の都市・地域公共交通に関わる各組織の役割と今後の方向性
(運輸調査局情報センター主任研究員 板谷 和也)
第4章 今後の自治体の交通政策の方向性・課題
(一橋大学大学院法学研究科教授 木村 俊介)
第5章 地域公共交通における条例の意義と課題
(駒澤大学法学部教授 内海 麻利)
第6章 地域公共交通に関する計画と都市計画との一貫性-フランスのPDUと都市計画体系との関係に着目して-
(駒澤大学法学部教授 内海 麻利)
第7章 集約型都市と地域公共交通
(早稲田大学理工学術院社会環境工学科教授 森本 章倫)
第2部 都市自治体の実践
第8章 栃木県宇都宮市:ネットワーク型コンパクトシティ実現に向けた交通政策
(宇都宮市総合政策部交通政策課長 南木 孝昭)
第9章 静岡県富士宮市:地域住民・交通事業者・行政による三位一体の公共交通
(富士宮市総務部市民生活課交通対策室長 高野 裕章)
第10章 青森県青森市:コンパクトシティの形成とバス路線の再編
(日本都市センター研究室研究員 石田 雄人)
第11章 長野県上田市:地域の自主性・公平性を考えた交通政策
(日本都市センター研究室研究員 石田 雄人)
第12章 富山県富山市:コンパクトなまちづくりを支える交通政策
(日本都市センター研究室研究員 石田 雄人)
第13章 富山県魚津市:地域組織による協働のバス運行
(日本都市センター研究室研究員 石田 雄人)
第14章 石川県金沢市:歩行者・公共交通優先のまちづくり
(日本都市センター研究室研究員 石田 雄人)
第15章 熊本県熊本市:公共交通を基軸とした多核連携のまちづくり
(日本都市センター研究室研究員 石田 雄人)
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