報告書

分権型社会の都市行政と組織改革 ―第4次市役所事務機構―

分権型社会の都市行政と組織改革 ―第4次市役所事務機構―


A4版 387p
定価2095円(1905円+税10%)
※ 当刊行物は、宝くじの普及宣伝事業として刊行されたものです。

 

本書は、(財)日本都市センターが平成8年度から平成10年度の3カ年にわたって実施した自主研究、「市役所事務機構のあり方に関する調査研究(第4次)」の成果を最終的に取りまとめたものである。

 

昭和39年以降、当センターは、ほぼ10年に1回の割合で、都市行政組織に関する本格的な調査研究を行い、その成果については、『市役所事務機構の合理化』(昭和41年4月)、『新しい市役所事務機構』(昭和53年9月)、『新しい市役所事務機構の方向』(昭和62年9月)として、広く世に問うてきた。当初、都市行政組織問題を取り上げた理由は、それまで市役所の事務機構や職員配置についての特段の基準がなく、全国の都市から適切かつ合理的な行政展開を図るための拠り所が求められていたことにある。そのため、民主化・総合化・能率化の3原則を掲げつつ、市役所事務の処理に関する考え方や組織機構のあるべき姿を提案した。その後も、都市を巡る社会経済環境の変化を踏まえて、検討の対象範囲を広げたり、政策指向の高まりに対応するなどして、新しい都市行政組織のあり方を提案してきた。

 

前回の調査研究から約10年が過ぎたが、この間、少子・高齢化、情報化、国際化等は一層進展し、また、環境問題等新たな行政課題がクローズアップされ、自発的な市民活動の活性化が見られるようになるなど、都市を巡る環境は大きく変貌した。それらの中でも、自己決定・自己責任を旨とする地方分権が具体的に前進し始めたことは、都市にとって極めて重要である。地方分権の推進と市民自治の発展のために、市民との新たな関係の確立、自主的な政策の立案や財源の確保、適切な政策の執行と評価など、現代地方自治の中核に位置付けられるべき都市自治の体制の改革と強化が必須になっている。

 

そこで、平成8年度から、改めて、地方分権時代における都市行政組織のあるべき姿、行政体制の充実の方向を検討するため、「市役所事務機構のあり方に関する調査研究(第4次)」に取組むこととした。

 

本最終報告書の主な特徴は、次のような点である。第1は、地方分権時代の到来の中にあって、民主化・総合化・能率化の原則を受け継ぎつつも、新たな状況の展開や社会思潮の変化を踏まえ、市民と行政との関係の再構築、政策に関するプロセスやマネジメントの改善・強化、効率化・質の高度化に配慮した行政体制の整備、の3つの側面を重点的に取り上げたこと、第2は、今後の重要課題として、アカウンタビリティの明確化、政策評価や自治体法務等の機能強化、さらには強いリーダーシップの市長の下での組織のあり方等に焦点をあてたこと、第3は、多様化が進む組織管理の理論や都市行政組織の実態等を踏まえ、都市の行政や組織のあり方に関するいくつかの考え方を示す一方、組織設計の基本となるべき「視点」を提示して、各都市の自主的な対応や主体的な組織改革を促すこととしたこと、等々である。

当センターの創立40周年を記念する貴重な研究報告書としても位置づけられる本書が、地方分権時代の都市行政のあり方、そして都市行政組織の改革方向を示唆し、ひいては、都市自治の発展にいささかでも寄与できれば幸いである。

序 地方分権型社会における都市経営

第1部 市民と行政―民主化の視点から―

第1章 市民自治の推進方向と組織対応

第2章 参加と協働

第3章 アカウンタビリティⅠ―情報公開・行政手続

第4章 アカウンタビリティⅡ―広聴広報

第5章 アカウンタビリティⅢ―監査

第6章 アカウンタビリティⅣ―自治体オンブズマン

第7章 都市内分権―支所・出張所等

第8章 コミュニティ

第2部 政策管理の展開―総合化・計画化の視点から―

第1章 政策過程の明確化と組織対応

第2章 トップマネジメントとその補佐機能

第3章 計画管理の推進

第4章 政策過程への職員参加

第5章 予算システムの再編

第6章 自治体法務とその体制整備―自治立法・政策法務

第7章 危機管理の視点とシステム

第3部 行政体制・基盤の強化―効率化・質の高度化の視点から―

第1章 行政体制強化の方向

第2章 組織の活性化と職員の能力開発

第3章 人事管理システムの展開

第4章 定員管理

第5章 情報管理の推進

第6章 事務処理の効率化・高度化

第7章 事務の外部化

第8章 自治体間協力・調整

第9章 組織機構の改革

1 機構改革

2 組織の動体化

第4部 都市行政組織の方向

第1章 これまでの都市行政組織

第2章 分権時代の都市行政組織の視点

1 地方分権と都市行政組織

2 組織づくりの視点

(1)自己決定権の拡大

(2)市民との関係

(3)都市情報化の進展と行政組織

(4)組織のスリム化

(5)新たな管理・組織論の採用

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