第10回都市調査研究グランプリ 受賞者の声
第10回都市調査研究グランプリ 受賞者の声
最優秀賞:川崎市
この度は、第10回都市調査研究グランプリの最優秀賞という大変名誉ある賞を頂き、誠に有難うございました。本研究を進めるにあたり御指導御協力賜りました全ての皆様に心より感謝申し上げると共に、本研究の成果がパブリック空間の有効活用に携わる皆様の一助となりましたら幸いです。
・パブリック空間の有効活用に向けて
道路・公園等のパブリック空間に対するニーズが多様化した昨今では、柔軟で効果的な空間活用が求められていますが、コスト・マンパワー・ノウハウの不足等により十分な活用が図られていない現状があります。そこで本研究では、国内外の先駆的事例からパブリック空間を有効活用する方法を明らかにし、新たなパブリック空間のデザインとして提言することを目的として進めてまいりました。
・有効活用には4つのデザインが必要
本研究では、ヒアリング調査、文献調査、国内視察調査、イギリス視察調査の4つの調査手法によって情報収集を行い、整理・体系化を図りました。その結果、パブリック空間を有効に活用するには、「目的」を明確にし、「戦略」を考え、関係者との「合意形成」を図り、最後に「活用」についてデザインする必要があるという結論に至りました。
・実践による実証へ
本研究は、先進事例の情報整理を図ることにより「新たなパブリック空間のデザイン」の骨格を構築することができましたが、実践ベースでの検証を図るという点では課題が残されました。そこで現在、研究員が各々のプロジェクトにおいて得られた知見を実践し、検証を始めております。
<研究報告書>新たなパブリック空間のデザイン~既存ストックの有効活用~
※以下のURLにて研究報告書を公表しています(川崎市ウェブサイトへのリンク)
http://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/38-1-7-2-21-0-0-0-0-0.html
優秀賞(政策基礎部門):盛岡市まちづくり研究所
この度は、第10回都市調査研究グランプリにおいて優秀賞というすばらしい賞をいただき、心から感謝申し上げます。都市を対象とするグランプリにおいて、地方都市における若者の地元定着をテーマとした本研究が高い評価をいただきましたことは、東京圏等への人口流出の抑制等の人口対策が重要な課題となっていることを改めて認識する機会となり、今後の施策の展開に弾みがつくことが期待されます。
盛岡市では、平成20年度に岩手県立大学と共同で「盛岡市まちづくり研究所」を創設して以来、緊急度・優先度の高い市政課題の調査研究に取り組み、その成果を新たな施策に反映してきました。
本研究では、特に若者の人口減少に焦点をあて、文献調査、統計資料の活用、ヒアリング調査、インターネット調査等の手段により、地方から東京圏への転出超過の要因について詳細に分析するとともに、産業構造の側面から社会減を抑制し、出生率を向上させる観点で、地域の持続可能性を確保する施策を考察しました。
東京圏への人口の一極集中や出生数の減少は、世界的なマクロ経済の巨大な潮流が生み出したものであり,単独の自治体がこれを止める、あるいは逆転させることは困難ですが、それぞれの自治体が切磋琢磨しながら、地方全体と東京圏との格差の解消に挑戦し続けていく必要があると考えています。
本研究が、各自治体の皆様の参考になりましたら幸甚です。今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
<研究報告書>人口減少社会における若者の地元定着に向けた施策の方向性について
※以下のURLにて研究報告書を公表しています(盛岡市ウェブサイトへのリンク)
http://www.city.morioka.iwate.jp/shisei/machizukuri/thinktank/1009675.html
優秀賞(政策応用部門):渡邊 瑛季
このたびは、第10回都市調査研究グランプリ(CR-1グランプリ)の政策応用部門において、優秀賞という栄誉ある賞をいただきまして誠にありがとうございます。
このたびの研究は、農村かつ観光地としての性格をもつ宇都宮市の北西部を対象に、地域資源の観光への活用方策について提案したものです。地域資源の観光への活用という考え方は、従来から提唱されていましたが、全国的には観光客のニーズを重視した「消費型」の観光活用策が提示されることが一般的でした。本研究では、畑作物の収穫や鳥獣害対策の柵を設置する際の労働力として観光客をボランティアとして活用することや、放棄されて低利用である大谷石の採石跡地を活用した歴史学習観光・コスプレ写真撮影など、住民の生活向上や地域的課題の抜本的な解決に結びつく「生産型」の観光活用策を提案させていただきました。
観光による経済的な利益や、目立った地域資源が少ない地域では、観光客を含む交流人口を地域の応援者として活用していくことが、今後の観光のあり方として有効であると考えています。 観光振興による地方創生が広く求められておりますが、こうした時勢において、今回の研究成果が、各自治体の皆様に、少しでもお役に立てれば幸いです。
<研究報告書>宇都宮市北西部における地域資源の観光活用方策に関する調査研究
※以下のURLにて研究報告書を公表しています(宇都宮市ウェブサイトへのリンク)
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/231/30_05hokuseibu.pdf
奨励賞(政策基礎部門):さがみはら都市みらい研究所(相模原市役所)
この度は、第10回都市調査研究グランプリ(CR-1グランプリ)奨励賞をいただきまして、誠にありがとうございます。
「世帯」と言うと、どのような姿を思い浮かべるでしょうか。
現在、日本で一番多い世帯の形は「一人暮らし」です。相模原市は、首都圏南西部に位置する人口72万人の都市であり、そのうち11万人が一人暮らしをしています。65歳以上の高齢者の一人暮らしが増えており、本市推計では、2065年には総人口の2.4人に1人が高齢者であり、そのうち5.3人に1人が一人暮らしをしている見込みです。
本調査は、高齢者の支援を行っている方へのヒアリングや、一人暮らしをしている高齢者自身へのアンケートなどを通じ、住み慣れた地域において安全で安心に暮らしていくための課題や、必要とされる支援のあり方などを明らかにすることを目的に実施しました。 関⼼のある⾃治体の皆様に参考としていただければ幸いです。
<研究報告書>一人暮らし高齢者の生活と意識に関する調査研究
※以下のURLにて研究報告書を公表しています(相模原市ウェブサイトへのリンク)
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/919/cyousa_201905.pdf
奨励賞(政策応用部門):青野 貞康
このたびは、第10回都市調査研究グランプリ(CR-1グランプリ) 政策応用部門にて奨励賞をいただき、誠にありがとうございます。
高齢化や単身世帯の増加、身近な商店街の衰退や、公共交通の利便性低下といった様々な要因から、高齢者を中心に、日常的な食料品の買い物に不便を感じる「食料品アクセス困難人口(いわゆる買い物難民)」の増加が社会的な課題となっています。
本研究では、宇都宮市における食料品アクセス困難人口の地理的分布を推計し、食料品店へのアクセシビリティが低い高齢者は、買い物行動の量や質が低下していることを示しました。また、行政、民間事業者、地域住民それぞれの買い物支援の取組みについて調査し、行政の役割は地域住民と連携しながら、自動車を利用できなくても移動しやすい交通ネットワークを構築し、「家から出かけやすくする」環境を整備するとともに、事業者や地域住民による買物支援の取組を支えていくことにあるという提言を行いました。
人々が健康で活力のある生活を送るためには何よりも食の充実が基本となります。官民が連携した取り組みにより、食料品アクセス問題が改善していくことを期待します。
なお、本研究は私がうつのみや市政研究センターに在籍中に行ったものとなります。貴重な研究の機会と様々なご助言をいただいた同センターのみなさまに心より御礼申し上げます。
<研究報告書>宇都宮市における食料品アクセス問題の現状と課題に関する調査研究
※以下のURLにて研究報告書を公表しています(宇都宮市ウェブサイトへのリンク)
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/231/30_04syokuryouhin.pdf
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