都市自治体のコミュニティにおける市民参加と合意形成に関する研究会
1.調査研究の趣旨
近年、多くの都市自治体では、超高齢・人口減少社会の到来、地域住民のつながりの希薄化により、地域コミュニティの衰退が指摘され、その維持が課題となっている。同時に、都市自治体においては、合併、財政危機などを原因として地域へのきめ細かな公共サービスの維持が困難となってきている。そこで、行政と市民との参加、協働が重要視されるようになり、地域で活動する諸団体、個人などを制度の枠内に位置付け、住民が政策の形成過程に参加する場面が増えてきている。
こうした中で、都市計画に関しては、2000年には地区計画の申出制度が、2002年には都市計画提案制度がそれぞれ創設された。また、交通行政の分野では、2013年に公布、施行された交通政策基本法で、交通に関する施策の推進について住民の連携、協働が規定された。さらに、各自治体でコミュニティゾーンの設置及び老朽歩道橋の撤去などに関する条例やガイドライン等を制定する動きが広がっている。それらの条例等では、住民からの発案を受けたり、住民が意思決定に関与することができる規定が盛り込まれるようになっている。このように、地域のまちづくり、地域の交通などの分野において、住民が自ら政策形成に参画し、地域において役割を担うことが求められるようになってきている。
こうしたまちづくり、交通等に関連した取組みは、今後は超高齢・人口減少社会にあって、公共施設の再編整備、地域公共交通の再編などとの関連において、地域コミュニティの再生を念頭に置きながら多くの都市自治体が取り組むことを求められると考えられる。
そして、特にまちづくりや地域交通のルールづくりの場面においては、関係者の増加、多様化に伴い、住民間の利害の対立が生じる等、調整が複雑になることが考えられる。そのため、調整を図るためにプロジェクトに応じて随時、臨時に構築されたものではなく、ある程度の位置付けを受けた住民組織がより多くの住民の意思を反映させて調整を図ることが重要となってくると考えられる。また、こうした調整過程、組織内の意思決定過程を「見える化」することによって、様々な経験を共有することが重要であると考えられる。
以上を踏まえて、協議会型住民自治組織を念頭におきながら、住民組織におけるまちづくり、地域交通計画などにおける意思決定過程の「見える化」及び一般化を図り、住民や関係団体からより信頼される住民組織づくりに資する知見を得ることを目的とする。
2.調査研究の概要
学識経験者、都市自治体職員からなる「都市自治体のコミュニティにおける市民参加と合意形成に関する研究会」を設置し、調査研究を進めることとした。研究会では、次の検討事項について議論するとともに、現地ヒアリング調査を実施した。
<主な検討事項>
(1)協議会型住民自治組織における意思決定過程の一般化の検討
(2)まちづくり(地区計画等)、地域の道路交通に関する計画の策定における住民組織の参加事例
(3)ドイツをはじめ諸外国における住民組織の意思決定過程の分析
3.研究成果の公表
本調査研究の成果をまとめ、平成29年3月に報告書を刊行する予定である。
4.テーマに関する先行研究
<過去の調査研究>
地域再生・コミュニティに関する調査研究(都市自治体と地域コミュニティの協働による地域運営に関する研究会)(2014年度)
地域再生・コミュニティに関する調査研究(地域コミュニティの活性化に関する研究会)(2013年度)
5.研究会委員名簿
座 長 | 名和田 是彦 | 法政大学法学部教授 |
委 員 | 羽貝 正美 | 東京経済大学現代法学部教授 |
〃 | 内海 麻利 | 駒澤大学法学部教授 |
〃 | 小嶋 文 | 埼玉大学大学院理工学研究科准教授 |
〃 | 佐久間 康一 | 文京区土木部道路課長 |
〃 | 藤橋 範之 | 長野市企画政策部人口増推進課長 |
(平成28年4月1日現在)
6.研究会開催状況
回 | 開催日 | 議事次第・配付資料 | 議事概要 |
第8回 |
平成29年1月31日 |
議事概要 | |
第7回 |
平成28年12月19日 |
議事概要 | |
第6回 |
平成28年10月11日 |
議事概要 | |
第5回 |
平成28年7月11日 |
議事概要 | |
第4回 |
平成28年4月18日 |
議事概要 | |
第3回 |
平成28年2月18日 |
議事概要 | |
第2回 |
平成27年12月16日 |
議事概要 | |
第1回 |
平成27年10月15日 |
議事概要 |
前のページに戻る