2013年度以前の調査・研究

基礎自治体の将来像に関する調査研究(2009年度)2009

基礎自治体の将来像に関する調査研究(2009年度)

(参照:2008年度

1.趣旨・目的

 当センターでは2008~2009年度、政府の第29次地方制度調査会等での論議動向に対応して、2か年にわたる自主調査研究として「基礎自治体の将来像に関する調査研究」を実施した。

2.調査研究の方法

 2008年4月、「基礎自治体の将来像に関する研究会」(座長;横道清孝政策研究大学院大学教授・地域政策プログラムディレクター)を設置した。  また、当センターでは、2007年度に全国市長会と共同で実施した「基礎自治体の果たすべき役割に関する首長アンケート調査」の結果を踏まえて、2008年9月、『基礎自治体の果たすべき役割に関する調べ』を刊行した。  引き続き「基礎自治体の将来像に関する研究会」を開催し、上記分析の結果を踏まえて、2009年9月、報告書『基礎自治体の将来像を考える-多様な選択の時代に-』を刊行した。 

3.調査研究の概要

(1)基礎自治体の将来像に関する主要課題についての分析
 研究会の各委員から以下のテーマについて論考をいただき、基礎自治体のこれからについて、包括的な見解を示した。
ア.ポスト合併新法時代の基礎自治体のあり方
イ.広域連携・事務の共同処理に関する若干の考察-法的視点から
ウ.基礎自治体の将来像を検討するにあたってのいくつかの論点について
エ.基礎自治体としての大都市の将来像
オ.米国ワシントン州における郡と市による地方保健局の共同設置とその運営

(2)基礎自治体のあり方全般についての分析
 世界11か国の地方政府の体系・役割分担や、平成の大合併の当事者による自己分析、都市自治体の意向、国の動向などについて、資料に基づき取りまとめた。
 都市自治体の意向については、今後の基礎自治体の果たすべき役割について、全国の市区長にアンケートを行い、事務の配分希望・対応能力、事務執行困難への対応策や人口規模との関係について尋ね、全体的傾向を得た。

(3)基礎自治体の圏域行政のあり方についての分析
 広域行政圏の動向(歴史的経緯、当初設定以来40年間の国レベル施策の変遷、圏域等の分布状況)、定住自立圏の動向、基礎自治体の意向などについて、資料に基づき取りまとめた。
 都市自治体の意向としては、「基礎自治体の果たすべき役割に関する市区長アンケート調査」によれば、事務の執行に関して、「基礎自治体が一般に行うべき事務について、基礎自治体に一定の人口規模があれば執行可能になると思うか否か」という問いに対して、「現状における場合」、「広域連携で取り組む場合」いずれも回答団体の6割以上が「はい」と答えている。また、「その人口規模は何万人か」という問いに対しては、「現状」については「10万人台」が多く、「広域連携」については「30万人台」が多い傾向にあった。イメージされる人口規模は、事務処理を基礎自治体単独で行う場合よりも広域連携による場合の方がかなり大きくなっており、広域行政圏のような圏域的手法による事務執行能力確保への期待は根強いといえよう。

(4)基礎自治体の広域連携のあり方についての分析
 広域連携制度の動向(歴史的経緯、制度概況、運営状況)や、都市自治体の意向、国の動向などについて、資料に基づき取りまとめた。
 都市自治体の意向としては、基礎自治体の果たすべき役割に関する市区長アンケート調査において、「基礎自治体が一般に行うべき」であるが「基礎自治体が一般に執行可能」とはいえない事務があると回答した団体を対象に、「基礎自治体が一般に行うべき」事務を執行できない基礎自治体にあって必要な対応策を尋ねた結果、多かった回答は、「近隣の基礎自治体との広域連合又は一部事務組合が当該事務を処理する」といった『水平連携』、「都道府県が当該事務を処理する(委託等)」といった『垂直補完』、「周辺市町村との合併」、「業務の抜本的な民間委託」などの順となった。

4. 調査研究の体制(基礎自治体の将来像に関する研究会)

座 長 横道 清孝 政策研究大学院大学教授・地域政策プログラムディレクター
委 員 斎藤  誠 東京大学大学院法学政治学研究科教授
 〃  田谷  聡 前一橋大学大学院法学研究科教授
 〃  伊藤 正次 首都大学東京都市教養学部教授
 〃  柴田 直子 神奈川大学法学部准教授

(敬称略、50音順、所属役職等は2009年9月現在)

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