2013年度以前の調査・研究

基礎自治体の将来像に関する調査研究2008

基礎自治体の将来像に関する調査研究

1.趣旨・目的

 政府の第29次地方制度調査会や地方分権改革推進委員会において、基礎自治体のあり方が議論になっている。そこで、平成20年度から、こうした動向に対応した調査研究を行っているところである。

2.調査研究の方法

平成20年4月、「基礎自治体の将来像に関する研究会」(座長;横道清孝政策研究大学院大学地域政策プログラムディレクター・教授)を発足させた。 また、当センターでは、平成19年度に全国市長会と共同で実施した「基礎自治体の果たすべき役割に関する首長アンケート調査」の結果を踏まえて、平成20年7月、「基礎自治体の果たすべき役割に関する調べ」をとりまとめたところである(同年9月、調査結果の詳細版を刊行)。  平成21年度も、引き続き「基礎自治体の将来像に関する研究会」を開催し、上記分析の結果を踏まえて、第29次地方制度調査会終了後、報告書を作成する予定である。 

3.調査研究の概要

(1)基礎自治体のあり方全般についての分析
 基礎自治体は、今後において、住民に最も近く、地域における行政を自主的・総合的に実施する役割を広く担う総合行政主体として、現在都道府県が行っている事務の多くを含む総合的な役割を担うべきと考えられるところである。
 このため、「基礎自治体が一般に行うべきであるが、基礎自治体が一般に執行可能とは言えない」事務がある場合における対応策が問題であるが、都市自治体においては一般に、基礎自治体全般の事務執行困難の対応策としては多様な可能性がイメージされているところであり、その中では、広域連合または一部事務組合を中心に「近隣の基礎自治体との連携」が有力な手段として考えられている、と分析している。

(2)基礎自治体の圏域行政のあり方についての分析
 また、従来から行われてきた「広域行政圏施策」が今年度廃止されることとなり、広域行政は大きな転換期を迎えることとなった。
 そこで、新たに導入された「定住自立圏施策」(「定住自立圏構想推進要綱」や「定住自立圏構想の推進に向けた総務省の財政措置」等からなる)の分析を行うとともに、従来から行われてきた「広域行政圏施策」の歴史的な分析を行っている。

(3)基礎自治体の広域連携のあり方についての分析
 さらに、従来からの広域連携のための様々な制度(一部事務組合、広域連合、協議会、機関等の共同設置、事務の委託、職員の派遣)についても、事例を検証しつつ、法制度面からの比較分析を行っている。

4.関連事項

政府の第29次地方制度調査会においては、平成20年12月から、基礎自治体のあり方等について本格的な審議が開始されているところである。平成21年2月6日には、第21回地方制度調査会専門小委員会の地方六団体代表ヒアリングが行われ、その中で佐竹全国市長会会長(都市分権政策センター共同代表)が参考人として出席し、これまでの全国市長会の提言及び(財)日本都市センターと共同で実施した「基礎自治体の果たすべき役割に関するアンケート調査」結果を踏まえて、意見陳述を行った。 すなわち、「基礎自治体の果たすべき役割」については、都市自治体が今後とも地域住民の期待に最大限に応え得る総合行政主体としての役割を果たしていくため、制度面、財政面の充実強化の観点での議論を求めるとともに、「市町村合併のあり方」については自主的合併を基本として、今後の支援のあり方に関する検討を、「広域連携」については水平連携を基本としつつ、多様で柔軟な広域連携施策の確立の検討を求めたほか、地域自治組織の充実や都市自治体の役割と責任に応じた地方財政制度の構築などを求めた。

5.調査研究の体制(基礎自治体の将来像に関する研究会)

 座長   横道 清孝 政策研究大学院大学地域政策プログラムディレクター・教授
 委員  斎藤  誠 東京大学大学院法学政治学研究科教授
 〃  田谷  聡 一橋大学大学院法学研究科教授
 〃  柴田 直子 神奈川大学法学部准教授
 〃  伊藤 正次 首都大学東京都市教養学部准教授

 (敬称略、50音順、所属役職等は平成21年3月現在)

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