日英の機関の共同設置
日英の機関の共同設置
A5判 134p
定価550円(本体価格500円+税10%)
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日本都市センターでは、平成の大合併の後の広域連携のあり方を探るため調査研究を進めてきた。2011年に『基礎自治体の広域連携に関する調査研究報告書 -転換期の広域行政・広域連携―』を、2012年には『協議会・機関等の共同設置・事務の委託に新しい光を当てて』と2冊の報告書を世に問うたところである。
また、2011年から「基礎自治体に関する総合的国際比較」事業として英国を取り上げて研究を進めているところであり、その中で英国の複数の自治体の事務総長(Chief Executive)を兼務する動きがあることを知ったところである。
これはある意味で「機関の共同設置」の一形態と考えられることから、興味深い取り組みであり、2011年の英国現地調査の際に該当団体にヒアリングを自治体国際化協会を通じて打診したところ、センシティブな問題であることを理由に調査を受け付けていただけなかったところである。確かに昨年のSOLACE(全国地方自治体事務総長・上級職員協会)のヒアリングの際に、事務総長の兼務はSOLACE活動における問題の一つに挙げられていた。
このように英国における事務総長の兼務についての実態調査が手詰まりになっていたところ、2011年度から3か年計画で行う英国の地方行財政制度とその運用についての調査研究全般について指導・助言をいただく「主査」を委嘱した稲沢克祐関西学院大学教授を通じ、英国の自治体で25年間にわたり人事部門の専門家として勤務し、その後大学教員に転じたスマート博士をご紹介いただき、博士の人脈を通じて現地調査を行っていただいた。
本書にはこの貴重なレポートを稲沢教授の解説とともに収録する一方、2011年の地方自治法改正を受けた池田市・箕面市・豊能町・能勢町による組織の共同設置の事例研究をはじめ、国内の事例研究を踏まえた機関等の共同設置及び事務の委託といった市町村の機能的連携についての野本祐二筑波大学准教授の論文も収録した。さらに、これらを概観して日英における機関の共同設置に対する考え方の違い等を論じた横道清孝政策大学院大学教授の論文を収録し、この分野における研究に一石を投じるとともに、今後の日本における市町村間の機能的協力等の広域連携のあり方を考える上での参考にしていただけることを期待している。
最後に、本書に論文をお寄せいただいた横道教授、野本准教授にお礼申し上げるとともに、遠く英国において当センターのためにその人脈をたどって現地調査をしていただいたスマート博士とその解説と翻訳をしていただいた稲沢教授に深く感謝申し上げる。
第1章 「機関等の共同設置に関する日英比較」
(政策研究大学院大学教授 横道清孝)
第2章 「英国の都市自治体における行政経営改革」
―スマート博士の報告書を読むための基礎知識―
(関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授 稲沢克祐)
第3章 「英国における複数自治体の共同事務総長と共同処理方式
(シェアード・マネジメント)に関する報告」
(ロバート・ゴードン大学名誉リーダー
関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科客員教授 ピーター・スマート) 著
(関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授 稲沢克祐)訳
第4章 「機関等の共同設置等の活用可能性について」
(筑波大学図書館情報メディア系准教授 野本祐二)
附録 「協議会方式に見られる構成団体の統制のあり方と責任」
―消防通信指令事務の事例から―
(前・日本都市センター研究室長 宮田昌一)
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