報告書

都市自治体におけるインフォーマルな苦情処理手続

都市自治体におけるインフォーマルな苦情処理手続


A4判 140p
定価1100円(本体価格1000円+税10%)

 

今日、法化社会の進展、住民の権利意識の向上とコミュニティ機能の低下など、都市自治体を取り巻く社会環境が変化しています。そのような中、都市自治体が住民から相談・苦情・紛争に積極的に対応し、その解消解決に取り組む事例が増えています。
本報告書では、都市自治体が独自に条例を制定して実施しているインフォーマルな苦情紛争処理手続について、趣旨・効果、課題などを取りまとめました。

独自条例による苦情紛争処理手続は、全国的に少数であるものの、(1)建築物近隣関係、(2)環境・公害紛争、(3)迷惑施設立地紛争、(4)福祉・介護苦情、(5)消費者保護、(6)男女共同参画、(7)オンブズパーソン(行政全般)の分野では事例が比較的多くあります。また、事業者等を相手方とするもの、自治体の施策を対象とするものがあります。
独自条例には、(1)基本条例、(2)手続を規定した条例、(3)苦情紛争処理機関(第三者機関)の設置を目的とした条例があります。
条例の制定によって、(1)住民にとって、相談や苦情紛争処理の受付体制が明確になり、透明性・公平性が確保され、(2)自治体にとって、相手方たる事業者・行政機関のほか関係人・関係機関に対し、協力を得る場合の法的根拠になります。
自治体による苦情紛争処理は、(1)住民の権利・利益救済、(2)住民の納得、(3)調整的行政指導(行政指導の一形態)、(4)行政機関への情報提供、(5)自治体の政策の改善等を目的として行われています。
独自条例による苦情紛争処理は必ずしも法的強制力を有しないので、当事者が受け入れなければ手続は進みません。このため、主宰者となる自治体職員や専門家の正義感、コーディネート能力などの能力と資質が求められています。また、住民への苦情・紛争の予防措置を条例で規定していくことが効果的です。
今後、ますます、自治体には苦情や紛争が寄せられると予測されます。自治体が独自条例を制定し、苦情・紛争などの社会的不調を裁判手続によらないインフォーマルな手続で解決することが求められています。

序章 調査概要

1.調査目的
2.調査方法
3.本報告書の構成

第1章 都市自治体による苦情処理・紛争解決の概要

1.都市自治体を取り巻く社会環境の変化
2.自治体等による相談、苦情受付の現状
3.法律に基づく裁判外解決手続
4.インフォーマルな苦情紛争処理の手続
5.苦情処理・紛争解決等とは
6.ADR法の制定

第2章 独自条例による苦情紛争処理の現状

1.都市自治体の苦情紛争処理条例の整理
2.行政分野ごとの苦情紛争処理条例の概要
3.小括

第3章 独自条例による苦情紛争処理の考察

1.対象としている苦情・紛争
2.インフォーマルな苦情紛争処理手続
3.自治体による苦情紛争処理の趣旨・効果・メリット
4.条例の制定意義等

おわりに

[資料1]建築物近隣関係に係る苦情紛争処理手続
[資料2]環境・公害紛争に係る苦情紛争処理手続
[資料3]迷惑施設立地紛争に係る苦情紛争処理手続
[資料4]福祉・介護苦情に係る苦情紛争処理手続
[資料5]消費者保護に係る苦情紛争処理手続
[資料6]男女共同参画に係る苦情紛争処理手続
[資料7]オンブズパーソンに係る苦情紛争処理手続
[資料8]法令上の根拠を有する自治体の苦情処理の例
[資料9]法令上の根拠を有する自治体の紛争解決の例
[資料10]独自条例による苦情紛争処理手続の概要(1)
[資料11]独自条例による苦情紛争処理手続の概要(2)
[参考資料]本調査研究で使用した苦情紛争処理条例一覧

 

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