報告書

自治体の遠隔型連携の課題と展望―新たな広域連携の可能性―

自治体の遠隔型連携の課題と展望―新たな広域連携の可能性―




A5判 220p
定価1100円(本体価格1000円+税10%)

 

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我が国においては、本格的な人口減少社会の到来を迎え、今後急速に高齢化と人口減少が予測されている。そうしたなか、2014年には自治体間の新しい広域連携の制度として、連携協約制度が創設された。さらに、東京圏への一極集中によって、地方では過疎化の一途を辿っている。そうした観点から、地方への新しいひとの流れを作る(いわゆる「地方創生」)必要性が指摘されている。今後は持続可能な地域社会の実現や、地方が成長する活力を取り戻していくために、自治体同士による各地域の特色を活かした効率的・効果的な連携に向けた検討が求められる。

 

新たな広域連携の選択肢として、モータリゼーションの進展による生活圏の広域化だけでなく、ICTの発達やネット社会の到来など、地理的な制約を受けない技術を用いることにより、近隣自治体だけでなく遠隔自治体との広域連携も考えることが可能となった。そのため、距離はあるが同様の政策を行っている自治体同士の情報・知識を即時的に共有することや、災害時のような緊急性の高い場合にも迅速な連携を行うことが期待される。

また、大都市圏における急速な高齢化により、都市部での高齢者福祉サービス供給の確保が困難になるなど、医療・介護の問題が深刻化している。そうした問題の解消に向け、地方部の自治体との連携による介護老人福祉施設等の整備や、生涯活躍のまち(日本版CCRC)構想により、従来とは違った形での地方移住を選択肢のひとつとして打ち出すといった動きが見られる。今後は、自治体間での連携による医療・介護の充実が図られていくだろう。

 

このような状況を踏まえ、日本都市センターでは、学識者及び都市自治体職員により構成される「自治体の遠隔型連携に関する研究会」(座長 横道清孝 政策研究大学院大学副学長・教授)を2016年に設置し、検討を行った。

 

研究会では、広域連携手法としての「遠隔型連携」に注目し、災害時の広域連携手法や医療・介護の福祉サービスを機能させるために遠隔型連携の役割を確認すること等により、今後の自治体同士の新たな連携を確立していくうえで必要な知見を得ることを目的として議論を深めた。本報告書は、その研究成果を取りまとめたものである。

 

第1章 自治体の遠隔型連携の可能性

(政策研究大学院大学副学長・教授 横道 清孝)

 

第2章 遠隔型連携の特質と類型

(首都大学東京大学院社会科学研究科教授 伊藤 正次)

 

第3章 防災・危機管理分野における遠隔型連携

(福島大学行政政策学類准教授 西田 奈保子)

 

第4章 福祉分野における遠隔型連携の可能性

(東北大学大学院医学系研究科教授 辻 一郎)

 

第5章 遠隔型連携の各制度における論点と課題

(一橋大学法学研究科教授 木村 俊介)

 

第6章 豊島区における遠隔型連携の取組み―東京23区唯一の「消滅可能性都市」による地方との共生プロジェクト―

(豊島区政策経営部企画課長 高田 秀和)

 

第7章 旧軍港4市の遠隔型連携

(佐世保市政策推進センター長 檜槇 貢)

 

第8章 新潟県南魚沼市の遠隔型連携に関する取組み

(日本都市センター研究員 千葉 尚樹)

 

第9章 岩手県陸前高田市の遠隔型連携に関する取組み

(日本都市センター研究員 千葉 尚樹)

 

第10章 大阪府泉佐野市の遠隔型連携に関する取組み

(日本都市センター研究員 千葉 尚樹)

 

第11章 東京都杉並区の遠隔型連携に関する取組み

(日本都市センター研究員 千葉 尚樹)

 

 

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