都市自治体の子ども・子育て政策
都市自治体の子ども・子育て政策
A5判 274p
定価1100円(本体価格1000円+税10%)
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日本では急速な少子化が進んでおり、2011年の合計特殊出生率は1.39になった。超高齢社会の中における少子化の進行は、社会経済に様々なマイナスの課題を突きつけている。また、現代社会では子どもの養育に係る費用が多額に上ることから、子育てに関する経済的支援とともに、仕事と子育ての両立についても検討すべき点が多い。
都市自治体は、従来から子ども・子育てに関する施策に取り組んできた。2012年には、「子ども・子育て関連3法」が成立し、自治体が主体となり子育てに関する支援をする枠組みができた。
こうした中、大都市圏では、今なお保育所の待機児童が多く発生するという課題が生じている。待機児童問題を抱える都市自治体においては、保育の量的拡充を図り、保育施設の新設や認定こども園の推進、地域型保育事業の推進などに取り組み、待機児童の解消に努めている。また、量的拡充に併せて保育士を確保するべく、独自に給与等の雇用環境を改善するなどの動きがみられる。他方で、延長保育や病(後)児保育など保育ニーズの多様化や、核家族化が進行する現代社会の育児負担も問題視されており、安心して産み育てるための母子に対するきめ細やかな支援が求められている。
ところで、保育の量的拡充のみならず、保育の質の確保も重要な課題である。これまでの保育の質は子どもの人数に応じて設定され、延べ床面積や配置保育士数など、構造的な内容に焦点が当てられることが多かった。しかし近年は、既存の枠組みを超え、幼児教育・保育が協働で行う研修や、小学校就学時の滑らかな接続を目的としたカリキュラムの作成など、保育の質を確保するべく新たな動きが出てきている。
このような状況を踏まえ、日本都市センターでは、2015年度に、学識者や都市自治体職員により構成される「都市自治体における子ども政策に関する研究会」(座長 高田寛文 政策研究大学院大学教授)を設置し、2か年にわたって検討を行った。
研究会では、結婚・妊娠・出産から就学前までの育児における、都市自治体の役割や支援の方法などを中心に意見を交わし、議論を深めた。また、都市自治体へのヒアリングやアンケートを実施し、それぞれの取組みや現状の調査を行った。本報告書は、その研究成果を取りまとめたものである。
第Ⅰ部では、現代社会における子ども・子育て政策のあり方を多方面から検証している。第Ⅱ部では、現地ヒアリング調査の結果を、それぞれの特徴や課題・成果を整理し報告している。第Ⅲ部では、本研究で実施したアンケート調査の結果を掲載している。本報告書が、子ども・子育て政策に関わる都市自治体職員、保育現場に関わる職員等に多少なりとも貢献できれば幸いである。
序論
都市自治体の子ども・子育て政策
(政策研究大学院大学教授 高田 寛文)
第Ⅰ部 子ども・子育て政策の現状・課題・展望
第1章 自治体における子ども・子育て支援新制度の役割・機能
(玉川大学大学院教育学研究科教授 大豆生田 啓友)
第2章 地域の特性に応じた子育て支援の推進
(NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長 奥山 千鶴子)
第3章
事例報告1 長野県伊那市の事例報告
(伊那市保健福祉部子育て支援課企画調整幹 小名木 伸枝)
事例報告2 福岡県福岡市の事例報告
(福岡市こども未来局こども部総務企画課企画調整係長 徳久 秀樹)
第4章 出生率回復に向けた都市自治体の子育て支援のあり方
(中京大学現代社会学部教授 松田 茂樹)
第5章 子ども・子育て政策に関わる都市自治体組織と職員のあり方
(大阪教育大学教育学部教員養成課程家政教育講座准教授 小崎 恭弘)
第6章 アンケート調査に見る都市自治体の子ども・子育て政策と、今後の方向性
(政策研究大学院大学教授 高田 寛文)
第Ⅱ部 子ども・子育て政策の実践
(日本都市センター研究員 篠崎 翔太郎)
第1章 千葉県浦安市
第2章 千葉県松戸市
第3章 北海道千歳市
第4章 北海道恵庭市
第5章 沖縄県南風原町
第6章 沖縄県宜野湾市
第7章 愛知県東海市
第Ⅲ部 都市自治体における子ども・子育て政策に関するアンケート調査結果
アンケート 集計結果
(日本都市センター研究員 篠崎 翔太郎)
(補論)保育の質向上の取組みに関する分析
(中京大学現代社会学部教授 松田 茂樹)
参考資料
研究会・現地調査 日程概要
議事概要(第1回~第8回)
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